環境問題は、法規制や技術の進歩だけで解決できるものではありません。人類が経済成長を遂げるなかで、さまざまな環境問題が生じ、その解決に向けて多くの対策が講じられてきました。しかし、いまなお前進しない課題があります。そこには、人々の協力や合意形成の難しさがあります。だからこそ、科学的根拠に基づくデータと、人と人とが対話を重ねながら意思決定していくプロセスの両方が重要だと考えています。
研究では、環境負荷を適切に評価し、その結果を人々の議論の土台となるデータとして示しています。例えば、「電気を使わないほうがエコ」という思い込みも、製品の製造から使用、廃棄までを含めたライフサイクル全体で評価すると、異なる結果が見えてきます。ロボット掃除機のほうが、粘着カーペットクリーナーよりCO₂排出量が少ないという例は、その一つです。また、国ごとのCO₂排出量も、総排出量や一人当たり排出量など、切り口によって見え方は変わります。どのデータも間違いではありませんが、一つの側面だけでは全体像は見えてきません。だからこそ、多面的な視点と確かなデータに基づき、総合的に判断する力が求められます。