社会心理学科

人びとの関わり、心の動き。

社会の出来事を心理学的視点で捉える「社会現象の心理学」と、個人や人間関係を対象とする「人間関係の心理学」。この両面から、データ分析に基づく科学的な態度を持って、社会の問題にアプローチしていきます。心理学に関する基礎科目から応用科目まで幅広く学ぶことができます。「認定心理士」などの資格取得も可能で「公認心理師」受験資格に必要な学部カリキュラムも用意されています。

学問の魅力

「社会現象の心理学」と「人間関係の心理学」

社会心理学とは、「社会現象の心理学」と「人間関係の心理学」の2つの柱から成り立つ学問です。「社会現象の心理学」では、犯罪や非行、組織、産業、消費など、社会で注目される事象を、心理学的視点から考察します。「人間関係の心理学」では、友人関係や恋愛関係、対人コミュニケーション、感情のコントロール、ストレス、健康、臨床、発達を含めて、身近に見られる人間の心理や行動の特徴を研究します。

学び方

学びを積み上げ、実践力を身につける

当学科のカリキュラムでは、以下の3種類をバランスよく、4年間で積み上げていくように学びます。

① 基礎から応用まで幅広い心理学の知識を学ぶ講義科目
② 実験・調査・統計の3つを中心に、データサイエンスの思考と技術を身につける実習科目
③ 実践的な学びとして、学生が主体となって課題の発見と解決に取り組む演習(ゼミ)

4年間の学び

知的探求の発展と結実

社会心理学科での4年間の知的探求は、少人数制の演習(ゼミナール)を中心に行われます。まず、1年次の基礎演習では、大学における学び方(「知」との関わり方)を理解するとともに、プレゼンテーションやディスカッションの方法を身につけます。2年次には、それぞれの学生の興味関心にしたがって、やや専門性の高い演習を選択し、本格的な研究活動を開始します。なお、そのような知的活動を側面から支えるのが、並行して履修する実験演習と調査実習です。そして3年次には、それまでの学びを基盤としつつ、個別具体的な研究領域についてより本格的に各ゼミに所属して探究を深めます。 4年次には、社会心理学のさらなる展開と応用について学びながら、個々の学生の知的好奇心を、卒業論文として結実させることを目指します。

卒業論文のテーマ例

  • 失恋の原因帰属が未練に及ぼす影響の男女差
  • 自己コントロールのトレーニング方法の開発
  • 「ひとりぼっち恐怖」をめぐる現代青年の心理と認知バイアスの関連
  • 職務満足感と職務ストレスへの対処方法が新入社員の抑うつ傾向に与える影響
  • 「おまじない」の心理的意味の探究
  • 信頼規定要因のリスク認知に対する影響:キャンパスにおける大学生の防犯意識
  • インターネット上における炎上:怒りと共感性との関連
  • 出来事の不快な情動性と正導・誤導情報が目撃証言の正確性に及ぼす影響
  • 友人との共食が大学生のメンタルヘルスに及ぼす効果
  • 笑顔表出とポジティブ情動についての生理心理学的検討
  • ソーシャル・ネットワーキング・サービスによる孤独感低減効果とその要因
  • 認知的方略および熟考のパターンと先延ばし行動傾向の関連について
  • 青年期における自律へのプロセスモデルの検討
  • 大学生が認知した養育者の養育態度が社会的スキルに及ぼす影響について

学びの取り組み

実験演習・実習

社会心理学科では、心理学の重要な研究方法である「実験」を学ぶ実験演習が、1年次・2年次の必修科目となっています。1年生では、20名程度のグループに分かれ、心理学の各分野における基礎的な実験・検査(知覚、学習、記憶、生理指標、性格検査、知能検査の6つのテーマ)について、各自が実際に実験者や実験参加者を体験しながらデータを取ります。その結果を分析してレポートにまとめるという作業を行います。データ分析とレポート執筆をくりかえすことで学生が力をつけられるよう、カリキュラムが組まれています。
2年生やその後のゼミでの演習・実習では、それまでに学習した事柄を基礎にして、学生自ら社会心理学実験を計画し、実行していきます。学生自身が仮説を立て、実験参加者を募集し、データの整理・入力・分析を行い、自分の立てた仮説が支持されるかどうかドキドキしつつ、分析結果に一喜一憂する、それが社会心理学実験の面白さといえます。また、その面白さを体験できるように、教員だけでなく、大学院生のティーチング・アシスタントも学習をサポートしてくれます。本学科では、こうした演習によって、心理学の研究に必要なテクニカルなスキルとともに、論理的な思考力、柔軟な発想力の育成を目指しています。

ラーニング・ポートフォリオ

社会心理学科では、実験演習を中心としてラーニング・ポートフォリオ(学習自己評価システム)を導入し、学生の学習支援を行っています。ラーニング・ポートフォリオの優れた点は、学生が学習について自己評価し、学習成果や学習過程を振り返ることによって、自己の成長や目標を自覚することができるところにあります。「教えてもらう」という受動的な学習態度は、望ましいものではありません。そこで、その授業で求められている知識や技能を学生自身があらかじめ理解し、「どのようにしてそれらを身につけていけばよいか」を意識しながら、能動的に学習を進めることができるようにしています。
また、授業の最後には目標の達成度を自己評価することで、自己の成長を確認・実感するだけでなく、次のステップのための反省点や改善点などについても、自ら考えることができるようにしています。本学科では、こうしたプロセスをとおして、大学生として能動的に学習に取り組めるようになることを支援しています。