生命科学科

いのちのしくみと、いのちを育む環境を科学する

動物細胞工学研究室(根建拓 教授)

細胞社会のコミュニケーションに関する研究

ヒトの体の中には数十兆個の細胞が存在しており、それらが互いにコミュニケーションを取ることで健康が維持されています。これらのコミュニケーションがうまくいかないと体全体の代謝や免疫などの異常がおこる、すなわち病気になることがあります。ヒトの体は、運動・栄養・温度など様々な環境変化の影響を受けますが、そんな時でも細胞社会はコミュニケーションを活用して生体の恒常性(ホメオスタシス)を維持しています。私たちの研究室では、このような細胞社会において、どのようなコミュニケーションが存在し、どのように働いているかについて研究を行っています。

テーマ1:運動すると筋肉の質や量が改善するだけでなく、全身に良い影響が出ます。それでは、なぜ筋肉で生じた収縮が全身に影響するのでしょうか? 私たちは、運動によって骨格筋から放出される「マイオカイン」と呼ばれるタンパク質が血液中に放出され、全身に運動の「信号」を伝えていることを発見しました。現在、そのしくみについて研究を行っています。

テーマ2:脳や皮膚を形作る細胞がダメージを受けると、周りの細胞にもその影響が伝わっていきます。一方、これは悪い影響だけではなく、細胞たちが協力してこの危機に対処するようなしくみもあることが分かってきました。この細胞たちの協力関係を知り、そのポテンシャルを引き出せれば、健康な脳や皮膚などを維持できる方法の開発につながるかもしれません。

私たちは、このように細胞社会のコミュニケーションの謎を解明することを目標にしています。数十兆の細胞社会をうまく維持するためのコミュニケーションを理解することは、健康な体を維持するために重要であることは言うまでもありませんが、もしかすると数十億の人間社会が持続的に発展していくために必要なヒントを提供してくれるかもしれません。

マウス走行実験
マイオカインとは?
骨格筋細胞

研究室入室希望者に望むこと

1. 好奇心や情熱をもっていること
皆さんのこれまでの人生の中で、「面白い」と感じたものや「もっと知りたい」と思ったものが必ずあるはずです。ヒトや動物の体の不思議、細胞の不思議、健康と病気、このようなキーワードに好奇心や情熱をもった学生を歓迎します。
2.多様な価値観を尊重できること
周りの人たちとコミュニケーションをとりながら協力してものごとを進められることも大切です。自分だけ良ければそれで良いと考えるのではなく、研究室内外の方々とともに目標を達成してください。
3.研究を学びたい意欲があること
研究は、知識習得や文献調査、実験やデータ解析、学会や学術論文発表まで、とても多くのプロセスから成り立っています。これらは卒業後、どのような進路を選んだとしてもとても役に立つものです。「研究」とは何かをしっかり学びましょう。

その他の詳細については、以下のホームページを参考にしてください。
Nedachi Lab