地球上に生息するすべての生物は長い進化の歴史の中で環境に巧みに適応してきました。そんな動物たちは、一度環境変動が起こると、素早く生態や行動を変化させて応答を見せます。そのため、動物を細かく観察し、その生態を調べ上げていくことで、今地球上で起こっている環境変動を迅速に察知し、それが生態系に及ぼす影響を明らかにすることが可能となります。野生動物の調査を通して、動物たちの魅力溢れる巧みな生き様を目の当たりにするとともに、そこから得られた結果を、環境問題の影響の将来予測や環境保全活動に役立てていくことを目指しています。
当研究室では、陸地から海洋まで幅広い自然環境をフィールドにして、野生動物の生態を調べます。私自身の専門は主に海鳥を対象とした、動物行動学、海洋生態学ですが、所属学生は自らの興味に従って、魚類・哺乳類・鳥類など対象種を問わずテーマを主体的に決めています。フィールド主義をモットーに、とにかくまず野外に出て動物を観察することで、巧みな動物の生き様を見つけ出すことを大切にしています。繁殖モニタリングや胃内容物分析の他、安定同位体分析や超小型ロガーを用いたバイオロギング調査など多岐にわたる手法を積極的に取り入れた研究テーマに取り組んでいます。