生体医工学科

人々の「生きる」を支える、科学と工学。

マイクロ材料工学研究室(甲斐洋行 准教授)

材料の微細な構造を制御して、微量の液体や分子を自由に操る仕組みを作る

皆さんの身の回りには、原子や分子でできているさまざまな物質があります。物質のなかでも、なにか特徴的な性質や機能を持っていたりして世の中の役に立つものを「材料」と呼んでいます。材料の微細なスケール(ミリメートル〜マイクロメートル〜ナノメートル)の構造や表面状態を制御することで、材料に特別な機能を付与することができます。私たちの研究室では材料化学を基盤として、微細な構造を制御した独自の材料・デバイスを作り出すことで、微量の液体やその中の分子を自在に操る技術を構築することを目指しています。そして、その基盤技術を用いて、化学分析、化学合成、生体センシングといった生体医工学への応用を生み出していきます。研究テーマの例を挙げると、第一に、材料の表面において液体が濡れ広がったり、逆に弾いて球になったり、という性質である「濡れ性」を自在に制御する方法を開発しています。そして、濡れ性の微細なパターンを基板の上に作り込むことにより、その上で液体の輸送や収集を行う「フラクタル開放型流路」の開発を行い、生体や環境のセンシング、物質合成への応用を展開しています。第二に、マイクロメートル(1メートルの100万分の1)のサイズの小さな穴がたくさん空いていて表面積の大きな「多孔質材料」を用いた電極(液体や生体に電気を流す素子)を開発しています。そして、それを応用して皮膚に浅く刺さる微小な針である「多孔質マイクロニードル電極」を作製し、高性能な生体センサや投薬デバイスを構築しています。これらの研究開発は、有機化学、流体力学、微細加工技術、電気化学測定、画像解析、コンピュータシミュレーションなどのさまざまな分野の知識・技術を取り入れながら行っています。

この研究室を希望する方へ

私たちの研究室のポリシーは、「楽しみながら積極的に挑戦して、世界レベルの研究を行う」です。研究はまだ世界中の誰も分かっていないことに取り組むので、なかなか上手くいかないことも多く大変ですが、それ以上に面白さとやりがいがあるものです。研究を始めて一年くらいの人でも、知的好奇心と粘り強ささえあれば、世界初のものづくりを実現したり、他の誰も知らなかった現象を発見したりする可能性が十分にあります。自らのアイデアを基に、皆でディスカッションしながら物を作ったり自然現象を解析したりするのは、とてもエキサイティングです。私たちの研究に興味を持った皆さんと一緒に研究できることを楽しみにしています。