生体医工学科

人々の「生きる」を支える、科学と工学。

ニューロサイエンス研究室(堀内城司 教授)

ストレス時の身体反応の脳内メカニズムに関する研究

私たちは日々様々なストレスの中で暮らしています。ストレスは適度にあると生産性や免疫力の向上などのプラスの面もありますが,過度なストレスや持続するストレスは高血圧や不整脈などの循環器疾患やうつ病やパニック障害などの精神疾患のリスクファクターになることが知られています。このようにストレスは,私たちの身体に様々な反応を引き起こすことが知られていますが,その中枢メカニズムは不明な点が多く残されています。ニューロサイエンス研究室では,ストレスがもたらす身体反応への脳(中枢)の関わりや調節メカニズムを明らかにすることを通して,ヒトの健康や病気の成り立ちを研究します。この研究は,私たちの健康管理プログラムの開発やストレスが誘発する病気の原因解明と新しい治療法の創成につながります。また,これらの研究を進める中で,新しい生理機能測定法や脳機能の可視化の方法の開発を進めていきたいと考えています。現在進行中および計画中の研究テーマは以下のものです。

  1. 社会的・精神的ストレスと自律反応(循環,呼吸,消化管運動など)の脳内メカニズムに関する研究
  2. 精神的ストレスと気分障害の関連に関する研究
  3. ストレスと免疫反応への自律神経の関与に関する研究
  4. ストレスがもたらす身体反応へのグリア細胞の関与に関する研究
  5. ストレスと神経伝達物質に関する研究
  6. ストレスがもたらす認知機能の変容に関する研究
  7. 脳・神経機能の可視化に関する研究
  8. 脳への新しい薬物微量投与法の開発
  9. 自律機能の新しい抽出計測方法の開発

私たちは,このようにストレスによって起こる身体反応の変化の謎を解明することを目標にしています。ストレス社会とよばれる現代において,ストレスを理解し,健やかな生活をおくるヒントを提供したいと考えています。

研究室入室希望者に望むこと

自分から進んで学び,分からなかったことが分かるようになる「知る喜び」,出来なかったことが出来るようになった時の「達成の喜び」,チームで一つのことをやり遂げた時の「共有の喜び」,さらに未知のものを見つけた時の「発見の喜び」など,研究を含めた研究室での活動を通して様々な「喜び」を感じて欲しいと思います。また,同時に,うまくいかない、思い通りにいかないなどの「失敗」も味わってほしいと考えています。「失敗」や「思い通りにいかないこと」の経験は未来の成功への大きな礎となります。研究室で味わう「喜び」や「失敗」は全て,皆さんの将来の大きな「宝」になります。ニューロサイエンス研究室では,好奇心や疑問を持ち,モチベーション高く,積極的にアプローチする意欲を持ちたいと思う学生の皆さんを歓迎します。今できていなくても,ニューロサイエンス研究室でそのような力をみにつけたいという方,一緒に分かち合いましょう。