税金には、三つの側面があるといわれています。一つは、法律的な側面です。自分はいくら税金を払えばよいかを考える時には、必ず国会で作成された税金のルールである法律を確認する必要があります。二つ目は、会計・計算的な側面です。税金は金額の問題であるため、それを計算するためには、簿記あるいは会計の知識が必要になります。また、税法の中には、損益計算・税額計算という特殊な計算法があります。三つ目は、財政・経済的な側面です。税金には、国家財政を支える財政的な側面はもちろんのこと、人々の消費行動や生活に影響を与える経済的な側面を持ち合わせています。

このような三つの側面を持つ税金は、他の法律とは異なり、ほぼ1年に1回、税制の改正が行われます。その理由として税金は、さまざまなビジネスや取引、家族関係に関わっているため、社会や経済の変化に合わせて毎年、ルールを変えていく必要があるからです。

例えば、時代とともに、新しく扱われるようになってきたデジタルでの取引や暗号資産、トークン(電子証票・NFT)などにも対応していかなければなりません。また、人々がさまざまな意思決定をする際に、税負担(経済的負担)は、重要な考慮要素になります。そのため個人または企業で取引をしたり、新しいビジネスやプロジェクトを始めたりする時には、事前に税の負担額について検討しておくことが大切です。もし税負担について検討せずに動き出してしまった場合、あとから税金の負担がのしかかってくることもあり得ます。特にデジタルやトークンなどを使った新しい取引をする際には、最初から専門家が入ってどのように進めれば税金の負担額を軽減できるのか、税のルールと事実関係を照らし合わせて検討する必要があります。

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泉 絢也准教授法学部 企業法学科

  • 専門:租税法、トークン(暗号資産・NFT・ステーブルコイン等)の課税問題
  • 掲載内容は、取材当時のものです