携帯音楽プレーヤー、メガネ型ウェアラブル機器、スマートフォンやスマート・ウォッチなど、これまで多くの革新的な製品が販売されてきました。このように革新的で既存製品のカテゴリーから逸脱した特徴を持つ製品を「新カテゴリー創造型製品」といいます。これらの製品は、マーケティング戦略が成功すれば企業に多くの売り上げをもたらしますが、実際は革新的であるがゆえに消費者にその便益が理解されず、市場の導入に苦戦する傾向にあります。その理由は、消費者が新製品を目にした時に、自分の知っている既存の製品カテゴリーの属性や特徴、その典型的な例などの記憶をもとに製品の評価をするからです。そのため新製品と既存製品との一致性や類似性が高ければ高いほど、消費者はその製品を瞬時に理解をすることができます。

一方で、新製品の特徴が既存製品と大きく異なる場合は、便益を推測することが難しいため、多くの消費者は理解することをやめてしまいます。そこで新カテゴリー創造型製品を受け入れてもらうためには、アナロジーの手法を用いて宣伝をすることが有効です。アナロジーとは、新製品と既存製品の共通したカテゴリーや特徴を結びつけて推測しやすくすることですが、どのカテゴリーや特徴を選ぶかによって消費者の関心度は変わります。例えば、スマート・ウォッチは「時計とスマホを合わせたもの」と説明できますが、運動や体調の管理ができる点に着目し、「あなたの専属のフィットネス・トレーナー」と伝えることにより、興味を持つ消費者が出てきます。

革新的な製品のマーケティング戦略には、アナロジーを用いて消費者にいかに便益や価値をイメージさせるかが重要なのです。

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堀口 哲生講師経営学部 マーケティング学科

  • 専門:マーケティング論(製品開発論、マーケティング戦略論)
  • 掲載内容は、取材当時のものです