国際政治の最も基本である「国家」には、法廷と警察で施行される「法」、軍事力である「勢力」、自国民である意識や連帯感と共に忠誠心や正義の基準がある「コミュニティ」が存在します。また、国際政治とは国家間の相互関係で成り立つ(国際体系)政治のことを意味しています。このため、国際政治学では世界全体に注目するのではなく、国家間の関係性に着目する必要があるのです。国家間では貿易や、災害時の救援など、さまざまな方法で協力をし、一方で、異議を唱え合い、戦争に至ることもあります。しかし国際体系では、国家より上の権限を持つ世界政府はなく、「アナーキー(無政府状態)」です。では、このような国際体系で各国家はそれぞれ自国の安全保障を守りつつも、どのように平和な社会を作ることができるのでしょうか。いわゆる「国際社会」という考え方で、国家同士が協力し合い平和的に共存する方法を見つけ出しています。国際連合や世界貿易機関(WTO)といった国際機関には、入国審査の規則など、国家が集まって情報を共有し、お互いにルールを守り合う国際社会が存在します。また、NGO(非政府組織)も、個人間での情報共有ができる場所であり、個人間での国際社会への参加と言えるでしょう。こうした国際体系の下、「民主主義」「自由貿易」「国際機関」を通して、貿易による利益を見逃さず、国家が国際機関に、個人がNGOにと、国際的な組織に参加すればするほど、お互いに関連づけられて平和になれるでしょう。こうしたことを学ぶため、一つの国家についての経済や外交政策だけではなく、他国との貿易関係や政治的関係について、関連を知る必要があるのです。

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グリーン ハロルド スティーブン准教授法学部 企業法学科

  • 専門:比較政治学
  • 掲載内容は、取材当時のものです