メディア情報研究室では、人が実際に暮らしている環境で一緒に生活する、ドラえもんのようなロボットを作ることを目指しています。最近でも、人と一緒に暮らすロボットが製作されていますが、家庭に普及するまでには少し時間がかかります。そこで、私たちの身近にあるスマートフォンとAR(拡張現実)技術を用いて、目の前にキャラクターが現れ、動いたり、会話したりする「拡張現実キャラクターによる対話システム」を製作しました。構造としては、まずユーザーの頭部にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、カメラ、マイク、イヤホンをつけて、カメラの映像をHMDに表示させ、AR技術でコンピューターグラフィックスのキャラクターを登場させて会話をするものです。ユーザーの顔の方向を推定したり、カメラからの距離を計測する特別なセンサーを搭載することで、ユーザーが頭部を前後左右に動かしたり、直立したりしてもキャラクターの位置を柔軟に制御することができるようになっています。また、ユーザーの音声から単語を認識し、自律的な会話もできるようにしています。しかし課題はまだあり、特に自律的に会話をするシステムは状況やタスクごとに変化する必要があるため難しく、人間がロボットを操作し被験者の反応のデータを集めてシステムを構築するWoz(Wizard of Oz)という手法も取り入れて製作しています。これらのロボット研究やシステム製作は、コンピューターサイエンスにあたります。しかし、情報システムは会計システムや金融システム、交通システムなど多様な分野で使用されており、ただ技術を持っているだけでは不十分です。異分野の専門家と協働してシステムを構築し、問題を解決する力、コミュニケーション能力も身に付けていく必要があるでしょう。

pf-murakami.jpg

村上 真准教授総合情報学部 総合情報学科 メディア情報専攻

  • 専門:画像処理、画像認識、音声処理、音声対話、コンピューターグラフィックス
  • 掲載内容は、取材当時のものです