シルクロードはユーラシア大陸の中央付近に位置し、その西の端にあるタリム盆地、タクラマカン砂漠の周辺から、中央アジアの諸国を経てローマまで通じる道を指します。シルクロード探検隊は19世紀後半からスタートし、1930年代まで続きますが、最も盛んだったのが20世紀初頭と言われています。この時期には有名な探検隊がいくつも派遣され、1903年には日本から派遣された大谷探検隊もシルクロード地帯を訪れています。なかでも、オーレル・スタインという人が派遣した探検隊は非常に有名で、測量に基づいて正確な報告書が作られており、今でもシルクロード探検の研究における最も基本的な資料であると言われています。しかし、この地図は枚数が多く大きな地図で、全体像が見えにくいという欠点もあります。また、スタインの地図では探検隊が調査した遺跡が多数書き込まれていますが、当時発掘した遺跡の場所を現在特定することはできません。そこで、このような「所在不明遺跡」を、現代のGoogle Earthといったデジタル地図を使って、100年前の地図との緯度・経度の誤差を補正しながら、1枚の地図につなげて見ることができるようにする作業が進められています。この一致ができて初めて、過去に発掘された遺跡と現代の調査で報告されている遺跡が同じものであると証明できるのです。複数の資料や地図を介して、100年間のシルクロード研究の蓄積と、中国での多数の調査報告書を結びつける学術基盤を作る研究が続けられています。

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西村 陽子准教授文学部 史学科

  • 専門:中国中世史・南陸アジア史
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