MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術は、人の五感やそれを超えるような新しいセンサ、センシング技術に応用されています。自動車や携帯電話の中など、私たちの身の回りのものにもたくさん使われていますが、詳しい内容を知る機会は少ないでしょう。今回は、触覚センサを応用したロボットの事例を取り上げ、MEMS技術のしくみを学びます。まず、MEMS技術とは、微細加工・半導体加工技術を用いて製作した微小電気機械システムのことです。マイクロマシン、マイクロシステムと呼ばれることもあります。大きさは数ミクロンから数ミリメーターの構造体で、米粒よりも小さいチップに入るため、ロボットの手や足、曲面なども含め、さまざまな部分に取り付けることができます。MEMS技術を応用した触覚センサを用いると、目的とする力をきれいに電気信号として取り出せるので、例えば家事支援ロボットがキッチンで皿を持ち上げて食器洗浄機に入れる場合、割らないようにハンドリングすることが可能です。これはロボットのハンドに触覚センサが4カ所取り付けられ、各々のセンサで3軸方向の力(圧力、せん断力)が検出できるため、器用に行うことができるのです。その他にも、歩行するロボットの靴のインソールに、触覚センサを3カ所配置し、データを見ることによって、歩行時の足にかかる力を計測し、さまざまなスポーツの解析を行うなど、多様な研究で応用されています。MEMS技術はこれから広がっていく、期待度の高いデバイスだと言えるでしょう。

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松本 潔教授理工学部 機械工学科 知能機械システム研究室

  • 専門:知能機械システム、マイクロシステム、ロボットセンサ、情報機器、機構及びシステム制御
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