「師道」とは、「教師の道」を指します。教師の道へ進もうとしている学生のみなさんに、今回は小学校の題材を使って、教師としての姿勢を考えてもらいたいと思います。授業は、どのような「ねらい」があり、「何を」、「どのように」、「誰に」、「誰が」ということを考えながら進めていきます。授業を構想するときには、カリキュラムに沿って、ここまで学ばせなければならないということを考えなくてはなりません。例えば、小学3年生の理科では「光の性質」について学びます。学年を追って同じことを深めながら勉強していくことを「スパイラル構造」といい、間をあけずに学んでいくのが理想ですが、その後は中学1年まで光について学ぶことがありません。カリキュラムの中で扱わない項目であっても、日常生活でよく耳にする紫外線や赤外線などの目に見えない光のことや、電磁波やプリズムを使った基本的な体験を取り入れるなどして、先の学習につなげていくことが重要です。子供たちの目線に立って、彼らがこれからどのようなことを学び、上の学年になった時にどのように関連性を持たせることができるかを考えて、教材研究をしてもらいたいと思います。教師が一方的に授業を進めるのでなく、さまざまな活動を取り入れながら、子供たちの考える力を伸ばしてほしいと思います。教師とは自分を出せる仕事です。自分を出すことを恐れず、素晴らしい理科の先生になってほしいものです。

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大辻 永教授理工学部 機械工学科 理数教育研究室

  • 専門:科学教育、理科教育、総合学習、持続発展教育、STS教育、環境教育、防災教育
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