英語のネイティブスピーカーには、日本人にはない、ネイティブスピーカーならではの英語に関するイメージや感じといった「ネイティブスピーカーの英語感覚」があります。
日本人が日本語に、独特の感覚を持っているのと同じです。この感覚は、語・句・文といったさまざまなレベルで存在します。例えば“wear”という語は、ドレスを着ている、ネクタイをしている、眼鏡をかけているなどと場面によって訳が変わりますが、意味はどれも「身に着けている」です。ネイティブスピーカーは、いちいち訳を把握しているのではなく、意味で捉えているのです。また、英語は日本語と違って文の語順が重要です。単に単語の順番が違うだけではなく、語順が変わるだけで、文の意味が変わってしまいます。こうした感覚は、ネイティブスピーカーとそうでない人とではだいぶ違います。文学作品を学ぶ英米文学科の学生には、英語学も併せて学び、ぜひネイティブスピーカーの持つ英語感覚に迫っていただきたいものです。文学作品は言葉による芸術作品です。重要なのは情報(あらすじ)なのではありません。どのように描かれているかについてを味わうことができる必要があるのです。

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波多野 満雄教授文学部 英米文学科

  • 専門:英語学
  • 掲載内容は、取材当時のものです