スポーツはルールが厳密に決まっているため、コンピュータシミュレーションによる再現が容易となっています。そこで開発されたのが、コンピュータシミュレーションを応用したフリーキックサポートシステムです。今回は、情報学をスポーツに応用し、どうすればコンピュータシミュレーションでサッカーの直接フリーキックが入る確率が上がるのかを講義します。
フリーキックサポートシステムの最終的な目標はフリーキックが入る確率を上げるサポートをすることです。そのために、まずボールの硬さや弾みなどの「材料定数」や、空気抵抗・変化球の特性などの「空力係数」を、シミュレーションを用いて調べます。それらの結果を踏まえて、蹴り出されたボールの軌道をシミュレーションし、最後に、ニューラルネットワークという人工知能を用いて、ゴールのこの位置に入れるためにはどの方向にどのように蹴ればいいのか、誰が蹴れば入る確率が高くなるのかを瞬時に計算することで、フリーキックをサポートします。ただし、実際の試合ではルール上、情報機器を使用できないため、このシステムは理論的な練習やRoboCup(ロボットサッカー大会)で活用しています。このように、情報学はスポーツと相性が良く、スポーツの練習や戦略立案などに役立っています。

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中林 靖教授総合情報学部 総合情報学科 メディア情報専攻

  • 専門:ネットワークコンピューティング、マルチメディアシミュレーション、計算力学
  • 掲載内容は、取材当時のものです