ナノ/マイクロテクノロジーとは、ナノ/マイクロスケールの材料や構造を製作する技術、および、それらを応用した科学技術のことです。ナノ/マイクロスケールの大きさは、1マイクロメートルが1000分の1ミリ、1ナノメートルが100万分の1ミリです。髪の毛や毛細血管の直径、大腸菌の大きさなどがマイクロメートルで表され、DNAの二重らせん構造の直径や、原子・分子の直径はナノメートルで表されます。
ナノ/マイクロスケールの世界では、私たちの世界では見られなかったような物理現象や性質が現れるようになります。たとえば、直径3マイクロメートルの粒子を水の中に入れて顕微鏡で観察すると、1カ所にとどまっていることができず、生き物のように常に動き続ける様子が観察されます。これは、水分子の衝突によるものです。大きな粒子には影響がなくても、非常に小さな粒子には衝撃が大きく、動いて見えるのです。これが原子や分子といったナノスケールになると、さらに小さな粒子である電子が空間を飛び続けていて、動いている様子さえ見えません。電子は空間を波のように伝わるので、位置を特定できないためです。こうしたナノ/マイクロスケールの現象、性質を十分理解したうえで、私たち生物をお手本にしながら、効率的なシステムを構築する必要があるでしょう。
森本 久雄教授理工学部 機械工学科 複雑流体研究室
- 専門:ソフトマター科学、複雑流体、非線形科学、ナノ・マイクロスケール材料の自己組織化現象とその応用に関する研究
- ※掲載内容は、取材当時のものです