近年、スーパーコンピュータが、将棋や囲碁で人間に勝つなど、人間の能力に迫ってきています。ハードウエアの高速処理能力の進歩だけでなく、ソフトウエアである人工知能プログラムの進歩も著しく、このままいくと、2045年にはコンピュータの能力が、全人類の能力を超えると言われています。しかし、人間のあらゆるアイデアによって効率の良い指示(プログラミング)をしなければ、せっかく開発されたハードウエアの能力を充分に引き出すことはできません。スーパーコンピュータは、たくさん用意されたプロセッサ(プログラムの指示を実行するためのハードウエア)に対し、“1つの仕事を終えたら他の領域の仕事を供給しながら進めていく”という指示をプログラムすることで、どのプロセッサも常に効率的に動いている状態をつくることができます。また、2000年以上前に建てられたパンテオン神殿が、大地震で倒れないのかといった解析や、人が入っていけない原子炉内のウォークスルー、東日本大震災の実際の津波のデータと航空写真を使った、実写のようにわかりやすいシミュレーションなど、膨大な計算結果をただ示すだけでなく、実感を持てるようなコンテンツに活かされているのです。
進化するスーパーコンピュータですが、使用するのも利用するのも人間です。いかにうまく活用するかが重要なのです。プログラミングなどの技術的側面だけではなく、実際の社会での経験や知識を活かし、みなさんにはぜひ、スーパーコンピュータを利活用していただいきたいものです。

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塩谷 隆二教授総合情報学部 総合情報学科 メディア情報専攻

  • 専門:スーパーコンピューティング、AIシミュレーション、計算力学、アプリケーション開発
  • 掲載内容は、取材当時のものです