統計学とは、データを分析するための方法論であり、株式投資に応用することができます。株式投資は収益率の高い「投資収益率」をもとに判断します。収益率がわかれば、投資金額に対する収益(または損失)を計算することができます。たとえば将来の収益率は、過去の株価データから分析して、同じような株価の変動が継続するという仮定に基づいて考えます。一方で過去の収益率は、投資収益率を最新の月次データまで出し、それがどのような分布であったかをヒストグラムで表すことができます。
また、月次収益率の平均値、分散、標準偏差も計算します。このうちの平均と分散(または標準偏差)という2つのパラメータで特定化できる確率分布を正規分布といい、これは収益率のヒストグラムとほぼ同じ形に重なります。そのため、株式の投資収益率は正規分布に従うと考えられ、投資家は将来の損益の程度や確率を計算することができるのです。さらに、大きな損失が起きる確率を減らすためには、さまざまな証券に資金を分散して投資をする「分散投資」を行うことが不可欠です。このような場合にも、基本的な統計学の知識や計算手法を活かすことで、多大な損失を被る確率を減らすことができるのです。

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里吉 清隆教授経営学部 会計ファイナンス学科

  • 専門:証券市場の計量分析
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