シミュレーションとは、仮想現実での実験により、現実世界での意思決定の判断材料となる実験手法です。中でもマルチエージェント・シミュレーションとは行動主体(エージェント)をたくさん(マルチ)設定することで、その相互関係を見る手法です。
たとえば人と犬の動きをマルチエージェント・シミュレーションで見ると、パラメータ(自由に値を設定できる変数)を変えると人の動きが変わります。マルチエージェント・シミュレーションの一番の利点は、このように何が起きているかを視覚的に理解できることです。しかも天災や人災など、実際には実験できないことも、シミュレーションならば実験できます。
さらに行動履歴データを用いれば、根拠のあるシミュレーションを行うことも可能です。これまでマルチエージェント・シミュレーションには、モデルとパラメータの根拠をどのようにして与えるかという課題がありました。しかし、個々の行動履歴データはミクロなデータであっても、集まれば全体をとらえていると考えれば、この課題もクリアできることでしょう。

pf_ishidam.jpg

石田 実准教授経営学部 マーケティング学科

  • 専門:マーケティング・サイエンス
  • 掲載内容は、取材当時のものです