私たちは球面上で生活をしています。球面上の直線を使ってできる球面三角形、球面多角形から、「球面幾何学」について考えます。
球面上で2点を結ぶ方法に、緯線や経線があります。また距離を測るための線を測地線といいます。球面上の2点で球を切断したとき半径が一番大きくなるのは球の中心を通るときで、この円を大円といいます。緯線は赤道が大円、経線は全て大円です。大円は、球面における測地線です。球面に大円を2つ描くと、2つの大円に挟まれた球面二角形ができます。面積を求めると、2Θとなり、球面二角形の面積が大円2つのなす角度Θによって決まることが分かります。また、球面三角形は3つの大円に囲まれる三角形です。内角の和からπを引いた値が球面三角形の面積となるので、球面三角形の角度の和は必ずπを越えなければならない、すなわち、球面幾何学の世界では三角形の内角の和は180度にはならないのです。
こうしたことは、今すぐ役に立つことではないかもしれません。しかし、無駄と思われることを真剣に考えるというのは、人間らしくてよいことだと思います。「面白いと思うことを突き詰める」ことの大切さをみなさんに伝えていきたいものです。
吉野 隆教授理工学部 機械工学科
- 専門:形態形成や創発に関わる数値シミュレーション
- ※掲載内容は、取材当時のものです