清王朝の末期は国際社会の中で没落、1911年の辛亥革命によって清朝が滅亡するのは歴史的必然というイメージがあります。しかし近代中国の写真史料からは、異なるイメージも読み取れます。
西洋の服装を身にまとったさまざまな写真から見て取れる清朝末期の実情は、近代的改革を推し進めている姿です。当時の中国は植民地化の危機を克服するため、近代国家を目指して立憲政治制度導入、近代教育制度確率といったさまざまな改革が行われました。また、国民皆兵化を進めるため、皇族も自ら軍人としての模範的な役割を果たさなければなりませんでした。西洋の軍服を着た皇族の写真から、そうした当時の背景が浮かび上がってきます。
一般的に、清朝は滅亡すべくして滅亡したというイメージのもと、語られてきました。しかし実際にはそのイメージ一色で塗り潰されるとは限らないことが、残された史料から分かります。1枚の史料から「なぜだろう」という疑問を持ち、そこから研究に取り組んでいくと、一般的なイメージと違った意外な実像を明らかにできるかもしれません。

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千葉 正史教授文学部 史学科

  • 専門:中国近代史

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