「西宮」木簡から考える-奈良時代と平安時代の違いとはー

2015年9月15日

奈良時代の奈良の都から出土した木簡「長屋王家木簡」に、「西宮」と書かれているものがあります。これは長屋王の邸宅の「西の方」にあるから「西宮」で、そこには長屋王の妻が暮らしていました。
天皇の居住する内裏に男性が入れなかった奈良時代、女官としてすべての情報を掌握できる女性は大きな政治権力を持っていました。皇后も内裏には居住せず、「西の方」に住居がありました。皇后が内裏の中に住むようになったのは、平安京に遷都した桓武天皇の時からです。平安京の内裏には「北の方」に皇后の住む場所があり、そこから貴族の妻は「北の方」と呼ばれるようになったのです。
平安時代の女性は政治に関わらなくなったので、奈良時代から平安時代にかけては女性の権利などが大きく変わりました。男性中心の社会が生まれてくるのが平安時代だということも、西宮の新しい木簡からわかります。このような出土文字資料は毎年増えているので、この資料を手掛かりに「新しい歴史の理解」をすることができます。大学で古代史を勉強するには、まだまだ無限の資料があると期待されます。

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氏名 (姓名は半角スペース区切り)
森 公章
職名
教授
学部
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学科・専攻
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サムネイル写真
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専門:日本古代史

※掲載内容は、取材当時のものです

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