経営者の高齢化が進展するなか、後継者の育成は解決すべき社会課題です。中小企業は地域経済の基盤であり、後継者教育による事業承継支援は、地域社会発展と新産業創出につながります。その目的を実現するために本プロジェクトでは、中小企業の後継者・支援者を対象にする「レジリエンス促進プログラム」の開発・実装を目指しています。事業後継者の働きがいや幸福感、ストレスやストレスを乗り越える力であるレジリアンスがどのように生まれるのかを解明し、問題解決に役立てたいと考えます。
そこで、従来の中小企業経営論や経営学、経済学だけではなく、教育学、心理学、脳科学、精神医学の手法やアイデアを取り入れながら、より良い事業後継のあり方を探り、問題解決に向けた研究を進めています。
例えば成人教育学・教育学の視点からは、起業家、特に女性起業家のリーダーシップ養成に関するプログラム開発を進めています。この研究が社会に果たす意義は、「持続可能な社会づくりのために、人々が真に働き続けることができる装置の構築」だと考えます。
また、現在、月に一度、中小企業経営者や事業承継者を招聘(しょうへい)し、自社概要と事業承継までの道程と契機、その後の経営成果などを共有する研究会を開催しています。今後はリーダーたちの生の声や経験をもとにした情報から事業承継に関するさまざまな悩みややりがいをデータとして蓄積し、実際の中小企業政策にフィードバックさせていくことを計画しています。さらには、中小企業経営者や行政機関向けのシンポジウムを開催するなど、情報発信にも力を注いでいきます。
山本 聡教授経営学部 経営学科
- 専門:中小企業経営論
- ※掲載内容は、取材当時のものです