西欧のやり方に倣い、人間と自然を仮に対峙させてその関係性を広く捉えてみます。人は自然から食料を得、自然の中で遊び、自然のなかに法則性(きまり、構造、はたらき等)を想定してそれを捉えようとしてきています。最後の関係性が「科学すること」と言えそうです。川越キャンパスは理工系学部・学科が集まるキャンパスで、「哲学すること」に加え、「科学すること」を重視する場。つまり、人間と自然の関係性の一つを深めている場でもあります。
昔、近代の枠組みを考えたある人が、それを支える人間をどのように育成すべきか論じた中で、「自然」、「事物」、「人間」の3つが必要だと主張しました。ここで「自然」は人間のもつ自然性、「人間」は教師です。「事物」は「環境」に言い換えられそうです。
このように考えると、この川越キャンパスの場は、自然や科学と人間をつなげる「科学コミュニケーション」のあり方を身に着けたり、中学・高等学校の理科教員を目指すには、うってつけの場のようです。
例えば、中学校3年生の理科の最後に、各発電方法の熱効率の比較があります。発電効率33%の発電では、人間が電気として使用するエネルギーの倍のエネルギーで地球を温めていると考えられます。これも人間と自然の関係性です。昔の自然災害を紐解いてみましょう。武田信玄の水除(土木工事)には、治水と利水の両面がありました。「稲むらの火」のモデル濱口梧陵が造った広川堤防は、被災した地で小さな経済をまわしながら復興する手立てでした。富士山の宝永噴火後、山北に見られる天地返しも、人間と自然の関係性の歴史です。
本研究室の指導教員は、理科教育・科学教育を出発点として、この10年は中等理数教員の養成に注力してきました。研究者としての最後を、この「人間と自然」をテーマに据え、みなさんと一緒に(同格同行)、みなさんの探究をサポートをしたいと考えています。