- (環境)教育プログラムの実践と効果評価
- 人々の環境意識と環境配慮行動に関わる心理因子とそのプロセス
- ICTの導入による環境負荷の低減とくらしの満足度
- CO2排出削減に向けたシナリオ評価、ライフサイクルアセスメント(LCA)
- 多様な価値観理解と合意形成
環境コミュニケーション研究室(平松あい 准教授)
主な研究テーマ
持続可能な社会の実現に向けて
持続可能な社会 (Sustainable Society) の実現、ということを大きな方向性として、環境負荷低減や教育の観点から様々な活動と研究を行ってきました。
環境負荷の評価
環境問題は時代や社会の変化で「有用・有害」「良い・悪い」の評価が変わる側面があります。高度成長期、工場から出る黒煙は発展の証でしたが、深刻な公害によりそのイメージは完全に逆転しましたし、夢の化学物質とうたわれたフロンはオゾン層破壊物質として製造禁止になりました。日本のようにふんだんに水を使って洗浄することは、水資源の乏しい地域では高負荷となります。このように、科学的知見の蓄積や社会の応答と文脈の中で、環境に関わる情報は変遷していきます。
ある技術や政策が導入されたり、人々が環境配慮行動を行うことで、どの程度環境負荷を低減できるかを科学的に推定して示すことも重要です。省エネ1つを見ても、実は判断は簡単ではありません。使用する際に電気を必要としなくても、環境に負荷をかけている場合もあります。不適切な資源採掘をしていたり、製造過程で大量にエネルギーを使っている場合などです。普段目に見えない部分まで含め、トータルで見てこそ正確に判断することができます(ライフサイクルアセスメント(LCA)という手法があります)。
人々の行動と社会の選択
未来社会がどうなっていくかは、私たちの選択にかかっているわけですが、そこには必ず不確実性が存在します。ですので、あらゆる可能性を想定してシナリオを立てて評価をします。ICTの普及で人々が意識しなくても機器類が賢い選択をしてくれるようにもなってきました。デジタル技術やAIの活用による変化も見ていく必要があるでしょう。
また、いかによい技術・方法があっても、社会に導入するには合意形成が必要です。私たちは大きな地球を家とする一つの家族のようなもので、影響を与え合いながら生きています。他を顧みず自分だけが良い策はいずれ歪みが生じます。背景や立場の異なる人々が協力していくには、まずお互いの価値観を理解し、共感し、対立を超えて解決方法を模索しようという姿勢を持たなければなりません。そのために、様々な問題を頭で知識として学ぶだけではなく、実感をもって物事を捉えること、自分事化するための方策も重要と言えます。
環境に関わる教育・心理・コミュニケーション
人々の理解や行動、合意形成を効果的に促すため、参加型のワークショップ、自然体験、芸術とのコラボ、映像の活用など、様々な実践活動を試行し評価しながら、有効な環境教育の手法を研究しています。それと合わせ、人々が何らかのきっかけで環境配慮行動をとろうと心を決め行動に移すまでに、どのような心理的プロセスをたどるのか、どのような心理的要素が働いているのかを解明する研究もあります。
変わりゆく時代、移り行く世代の中で、人と環境が調和していく仕組み作りに貢献していきたいと思います。
この研究室を希望する方へ
持続可能な社会の構築には、環境と人間が、また人間同士が、お互いに、ただ犠牲になるのではなく生かしあう社会にしていこうという姿勢が大事です。
研究室は社会の小さな縮図でもあります。自分の研究は個々で取り組む側面もありますが、互いに関心をもち、視野を広げることも意味のあることです。一人の力は小さくても、お互いの個性、才能、価値を認め、協力し連携しあうことで大きな変革を起こすことができるかもしれません。
研究は既に出ている正解を見つける作業ではありません。物事を深く洞察し、探究し、新たに発見したり造り上げていく創造的な営みのように思えます(人生と少し似ていますね)。今よりもっとよりよい社会に向けて何ができるのか、学んだ知識とスキルの上に、既存の枠にとらわれすぎず、好奇心をもって、前向きに挑戦していってもらいたいです。そして、研究とともに、ご自身も成長して社会に羽ばたいていってほしいと思います。
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