「医療機器」とは、「人もしくは動物の疾病の診断、治療もしくは予防に使用されること、または人もしくは動物の身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であり、政令で定めるもの」であると、薬機法で定義されています。例を挙げると、ハサミ、メスなどの金属性の小物から心電計、人工呼吸器のような中型の装置、MRI、X線CTのような大型の装置、ペースメーカーや人工血管のような埋め込み型のものやメガネ、補聴器のように日常生活で利用するものなど、さまざまな種類があります。

この医療機器の一つに、皮膚を通して動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を計測することができる「パルスオキシメータ」があります。この医療機器は、指に装着するだけで簡単に空気中から酸素を体の中に充分に取り込めているかどうかを確認することができるものです。基礎原理としてパルスオキシメータは、動脈血の赤色の度合いを見て、酸素飽和度(赤血球が酸素と結びついたヘモグロビンの比率)を測定します。しかしそれだけでは、動脈の色が変わったことによる変化なのか、それとも拍動が変わったことによる変化なのかがわかりません。その問題を解決するために血液の赤色に影響を受けるものと血液の色による影響が少ないもしくは反対に出るもの(赤外線)の2色の光を使用して脈波を測定します。この2色の光センサ出力の振幅比から動脈血の血液の色を測定し、動脈血酸素飽和度を推定する仕組みになっています。

このようにパルスオキシメータのような入門的な医療機器を取り上げて、光で脈波を計測するための技術や医療機器の基礎となる電気回路について学ぶことは、応用力を身につけるために重要です。それによって現在の医療機器の理解を深め、新しい医療機器の開発につなげていくことができます。

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秋元 俊成准教授生命科学部 生体医工学科

  • 専門:医工学、ロボット工学、システム工学、計測工学
  • 掲載内容は、取材当時のものです