グローバリゼーションとは、商品やサービス、情報、資本、人などの国境をこえた自由な流れを意味します。グローバリゼーションによって、地域やコミュニティはどのような影響を受け、地域のイニシアチブはどう変化してきたのでしょうか。

一部の学者によれば、グローバリゼーションの帰結の一つは、地元住民が単一のグローバル化された社会に組み込まれていくことだと主張します。なぜならヨーロッパやアメリカ、日本など、どの大都市にも、マクドナルドやスターバックスなどのグローバルチェーンストアが存在するからです。このようにグローバル市場でビジネスとして利益を得るために設計された「非場所」が世界中に増加し、ローカルな場所や風景を消失させるという見方を「拡散仮説」といいます。一方、イタリアでは、1980年代後半にローマの中心部にマクドナルド第1号店がオープンすることへの反対運動をきっかけに、「スローフード運動」が起こりました。それによって地元の伝統的な食文化や食材が再評価され、地元の農産物市場の活性化へとつながりました。このようにローカルは市場経済のグローバル化によって破壊されず、ローカルな取り組みの変革や可能性を強調するプロセスを「屈折仮説」といいます。

グローバリゼーションは、グローバルなものとローカルなものの混合物を生み出します。そのため、このようなうごきをグローバル化とローカル化を掛け合わせて「グローカライゼーション」と呼ぶ学者もいます。また、グローバリゼーションとローカルの関係を示すもう一つの例として、1999年にイタリアで誕生した「スローシティ運動」が挙げられます。これはスローフードの基本的な考え方を都市政策に活かし、小さな街のゆったりとした暮らしや日常的な場所に価値を持たせて再活性化しようというものです。どのような場所づくりをするかという視点は、加速するグローバル社会の課題やSDGsの達成を考えるうえで重要な要素です。

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鈴木 鉄忠准教授国際学部 国際地域学科

  • 専門:地域社会学、イタリア・日本の地域づくり比較
  • 掲載内容は、取材当時のものです