私たちが「欲しい情報」を賢く探すには、仕組みを作る側の視点から情報源について学ぶことが重要です。そのための基礎知識を文学部司書資格科目において学ぶ「図書館情報学」の視点から考えます。情報源は種類分けすることができ、その種類ごとによく似た仕組みを持っています。ここでいう仕組みとは、欲しい情報を上手に探し出すための事前準備です。これは、多くの情報の中から探したい対象をすぐに抜き出せるように、対象の特徴を表現した「属性」のデータをあらかじめ作成しておくことを意味します。例えば本には、タイトル、著者名、出版年のほかにもさまざまな属性があります。このように属性を決めてデータを作ることを、図書館情報学では「組織化」と呼んでいます。用意されている属性が分かれば、設定可能な条件が認識できます。また、情報源に用意された属性は、検索結果から知ることができます。さらに、本を探すための情報源には、「日本十進分類法」を基に記述された「分類記号」があります。これは本の内容を表したもので、本のタイトルや著者名が特定できなくても、内容から欲しい本を探すことができます。このように情報メディアは、あらかじめ組織化されており、備えられた属性を調べれば分かるようになっています。情報を賢く探すためには、仕組みを作る側の視点から情報源について学ぶことが重要なのです。これらの知識は、本を探すことに限らず、異なる種類の情報源にも応用することができます。「図書館情報学」は、情報の組織化を中心として、広く情報の生産から利用に関わる学問分野です。最近では、電子形態を含む情報メディアの多様化が進み、情報を探すための知識はますます高度になっています。これらの知識は、大学における学習や社会における活躍を支える基礎知識にもなるはずです。
杉江 典子准教授文学部 日本文学文化学科
- 専門:図書館情報学
- ※掲載内容は、取材当時のものです