まちづくりとは、「地域資源」を「地域資本」に変えていくことだと考えます。「地域資源」を見つけるには、まちに存在する利用可能なものを発見する眼力を養う必要があります。つまり、“無いものねだりではなく、有るもの探し”です。普段目にするまちの「見方」を変えて、「地域資源」を発見し、それをみんなで共有して活用することが、豊かな環境づくりにつながります。例えば兵庫県豊岡市では、人が住まなくなった古民家を借りて、障子や畳を張り替えてきれいにし、Wi-Fiが使えるシェアスペースとして開放しました。すると、個人事業主のデザイナーやミュージシャン、ダンサーなどが仕事場や休憩所として利用するようになりました。そこへ地域の人たちが、家具や食器を持ち寄ってみんなで食事をしたり、音楽会などのイベントを開催したりするなど、シェアスペースを拠点に新しい秩序や文化が生まれ始めたのです。これは、空き家という「地域資源」を、人々が楽しく集う「地域資本」の状態に変えた事例の一つです。近年、人口の減少と共に「私(わたくし)」の場所が空き家化する問題が増えています。行政だけではなく、市民や民間企業が積極的に協力して、「私(わたくし)」の一部をシェアし「公(おおやけ)」として活用することが、まちの活性化につながります。

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山崎 義人教授国際学部 国際地域学科

  • 専門:建築学・都市計画、農村計画
  • 掲載内容は、取材当時のものです