英語カラオケは、歌に合わせてテロップの色が変わっていくことで、タイミングを視覚的に認識でき、かつ、パラレルリーディングによる音読練習を支援する、英語学習にふさわしいマルチメディアツールになると考えています。ただ、歌いやすいようにふられたカナも、従来のものでは音楽の尺に収まらず、元歌の音声実現とも全く異なってしまいます。そこで、上手に発音できるようになるための仕掛けをした、英語カラオケ用カタカナシステムの「Nipponglish(ニッポングリッシュ)」を開発しました。このシステムでは、単に聞こえた通りのカナを振っているのではなく、まず、歌に合わせて表示時間内に読め、かつ発音をできるだけ再現できるよう、最小限に抑えた文字数にし、長く歌う音節は長音記号を使うなど、ぱっとみてすぐわかるように「視認性」を高めました。また、「音の再現性」や、日本人にとって見慣れた文字の並びかどうかの「親和性」も大切です。“Check it out” を「チェックイットアウト」とするのではなく、「チェケラウ」とすることで、文字数が少なく、細かい音よりも歌の全体的なリズムが優先され、見てすぐに発音することができます。このバランスが重要であり、実際に、このようなカナを振ったものが、現在は500曲以上あり、その全てに難易度レベルが設定されています。それによって自分の発音レベルを評価し、自分に合った練習曲を選ぶことができます。そして、このNipponglishで練習をすることで、英語の発音が上達するという実験結果も出ています。このようにNipponglishもエンターテイメントの領域から、日本の英語教育を変え、グローバル化への貢献ができればと思います。

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湯舟 英一教授総合情報学部 総合情報学科 心理・スポーツ情報専攻

  • 専門:言語心理学、応用言語学、音声学、e-learning教材開発
  • 掲載内容は、取材当時のものです