食品は味、香り、色、生理活性(栄養成分、健康になる成分)など、さまざまな成分から成り立っています。私たちが食品に期待することとして、第一次機能(栄養性)、第二次機能(嗜好性)、第三次機能(生体調節機能)が挙げられます。最近は「機能性食品」が話題となっていますが、食品成分のもつ生態調節機能を活用して食品に新しい機能を付与し、機能性成分を食品に配合することで、その機能が発現することを科学的に立証し、開発された食品のことを言います。みなさんも目にすることも多い特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品、機能性表示食品は、機能性食品のうちの「保健機能食品」と呼ばれるものです。これらの機能を理解して食品の分野で活用していくためには、各成分がどのくらい含まれ、何に効果を発揮するのか、成分全体を科学的によく知っておくことが重要です。文部科学省が公表している『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』には、食品に含まれる栄養成分の基礎的データが成分項目数52、食品数2191が掲載されており、日本で年間を通じて常用される食品の全国的な平均値について、可食部100g あたりの数値である標準成分値を知ることができます。それ以外にも近年では、ほとんどの有機化合物の定性・定量分析を可能とした液体クロマトグラフィーや、これまでにない総合的分析および総合評価方法を提案した核磁気共鳴(NMR)などの手法が開発されています。このような分析法、食品の機能性の考察が容易となったほか、科学的根拠が立証することができ、機能性食品の開発に寄与することになったのです。

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細谷 孝博准教授食環境科学部 健康栄養学科 食品機能学研究室

  • 専門:食品学、食品機能学、食品分析学、天然物化学
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