みなさんは、同じ商品であればより安い値段で買いたいと思うでしょう。ところが、もしずっと物の値段が下がり続けるとしたら、今よりもっと下がる可能性があるため、消費のタイミングを先延ばしにする人が増えるでしょう。その結果、企業の業績が悪化し、生産量の削減に追い込まれることで、企業は雇用の見直しの必要に迫られ、人員削減や解雇、あるいは賃金カットを検討します。すると、収入が減って家計が苦しくなるため消費が減退、もっと物価が下がりもっと購入が先送り…と悪循環につながります。ではその一方で、あらゆる物の価格が高騰するバブル経済はどうでしょう。発端はオランダのチューリップ・バブルでした。値段の安い時に買って、値上がりしてから売って利益を得ようと、多くの人たちが金銭目的でチューリップを買いました。人々が買い続けている間は、その商品や資産の価格も上がり続けます。そして、資産価値に変化が起きるのです。日本では、株式や土地や不動産の価格が上昇しました。当時財政難だったアメリカの要求で、政府は財政政策として、税金を使って公共事業を拡大し、支出を増やしました。さらに好景気であるにもかかわらず金利を引き下げ、投機目的で次々に株や土地の購入をしたい人々に、銀行は率先して融資を行い続けました。ところが一転して日本銀行は、景気を抑制するため、金利の引き上げを行います。急落する株価や資産価値に市場はパニックを起こし、人々はさらなる下落を予想して次々に資産を売却しました。こうしてバブルの崩壊を迎え、日本の経済は低迷したのです。国民一人一人の行動が、国の経済を形成しているといえます。経済を学び、世の中の状況を深く理解していきましょう。

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野崎 浩成教授国際学部 グローバル・イノベーション学科

  • 専門:銀行業務、ファイナンス、コーポレートガバナンス、株式市場
  • 掲載内容は、取材当時のものです