今回は「問題把握的学習における重要な教授学習活動」について考えてみましょう。特に授業の導入では、子どもたちの興味・関心をどのように喚起すればよいでしょうか。まずは動機付けです。動機付けには、ごほうびや進学・就職などの報酬の獲得、怒られる、不合格などの懲罰の回避といった“外発的動機付け”と、知的好奇心や興味・関心、こだわり、有能感(やっていて充実感がある)などの“内発的動機付け”があり、両者は入れ替わることもあります。たとえば、初めは報酬が目的だったものが興味に変わったり、好きでやり始めたのに報酬目的に変わったりといったことです。次に、子どもの生活経験や既有概念を価値付けることも必要です。生活経験や、学習者既有の知識体系である“知っていること(日常知)”と、教科書の知識体系である“これから学ぶこと(学校知)”が一致したときに、自然事象に対する考え方の構成がされ、子どもの関心・意欲・態度につながるのです。さらに、自己効力感を高めることも大切です。小さな成功体験や代理的体験、言語的説得で、自分ならできるかもしれないと思わせるのです。そして、見通しをもって学習させるため、誘発課題を投げ掛けると、子どもは課題に対して仮説・計画などを持ち、専門家と同じ方法で解決していこうとするようになり、学習を計画的に進めることで、学習で得た知識を活用可能な概念として習得することができます。子どもたちの身近な話題や知っている話題を出しつつ、見通しをもたせることによって興味・関心を高め、指導していきましょう。

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鈴木 一成教授文学部 教育学科

  • 専門:理科教育学
  • 掲載内容は、取材当時のものです