コンビニやスーパーではレジでバーコードを読み取り、数量を入力することで、巨大なデータベースが形成されています。これにより、どのような消費がどこで行われたかが、ほぼ分かるようになっています。日本のバーコードは“JANコード”と呼ばれ、製造国、製造メーカー、商品コードを読み取ることができます。そして、読み取ったJANコードとデータベースを紐付け、販売実績なども含めて管理するシステムが“POS(販売時点情報管理)システム”です。2006年1月から直近まで、全国から各地域の主要な店舗を業態別に4,000店舗を選んでPOSデータを集計、店舗別、商品別の販売額、販売数量のデータといった500億ものビックデータを研究したところ、POSデータからは、同じ商品でも店舗が違えば販売価格も販売方法も違うこと、新商品が売上の3割を占めること、商品の価格にはライフサイクルがあることなどが明らかになりました。こうしたことから価格変化率を計算し、物価指数を出しますが、さまざまな計算方法があるため数値は正確ではありません。そこで、POSデータ研究から生み出した新しい計算方法から、特売や同商品の容量減などといったデータへの影響にも対応することができるようになりました。また、価格がどのような経済学的な要因で変わったかを分解して見たり、継続商品の販売シェアの変化や、新旧商品交代の効果を厳密に計測したりすることも可能です。さまざまなデータを経済学で分析し解釈するスキルとツール、そしてその理論を学んでいきましょう。

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外木 暁幸准教授経済学部 国際経済学科

  • 専門:日本経済論、マクロ経済学
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