1978年にアメリカで航空規制緩和法が成立したことにより、航空の自由化が進み、既存の航空会社よりも費用を安く抑えた格安航空会社(Low-cost career=LCC)が誕生、日本では2012年より、国内線のLCCが運航を開始しました。経済のグローバル化による人流・物流の増加による航空需要が高まる一方で、石油価格の乱高下やパイロット不足など航空産業が抱える課題もさまざまです。こうした中で、LCCが力を発揮できる新たな航空のあり方とはどのようなものなのでしょうか。LCCは運賃が安いため、旅客にとっては利用しやすく、若い世代だけでなく、高い年齢層でも利用者が増えています。また、ほかの交通手段からのシフトや、旅行回数が増えた、あまり行かなかった地域へ行くようになったといった新規旅行者の出現など、新たな市場を創出したといえます。原油価格の高騰だけでなく、今後は資源不足も問題視される中、同じ大きさの飛行機でも、LCCは席を多く設けており、既存航空よりも8~23%分多くの旅客を運ぶことが可能です。つまり、LCCは1席あたりの燃料消費量・費用が低く、CO2排出量が少なく済むため、こうした問題の解決にもつながっているのです。環境にやさしいLCCで賢く飛ぶ。観光・航空はそれぞれの矛盾を抱えながらも、その解決策を模索しながら発展を続けていく必要があります。持続可能性を確保しながら拡大していくLCCが示す航空のあり方は、将来を見据えているのではないでしょうか。

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野村 尚司教授国際観光学部 国際観光学科

  • 専門:航空マーケティング、ボーダレス環境下での観光ビジネスモデル
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