経済成長は、GDP(国内総生産)で計測し、GDPが前回からどれだけ増えたか、物価の変動を考慮して算出した経済成長率を指標とします。また、変動しながらも時間とともに増えていくGDPを長期的に見ていく必要があります。戦後の日本経済は、家計の豊富な貯蓄と企業の積極的な投資や、農村の豊富な労働人口の存在、外国企業との技術提携による技術アップなどで、1960年代からの高度成長期を迎え、平均10%を超える高い成長率となりました。しかし、1970~1980年代前半には、いわゆるオイルショックが重化学工業に打撃を与え、設備投資が停滞し、農村から都市への労働移動の減少などもあり、成長率は3~4%と低くなりました。ただし、成長率の低下は、前期のGDPが大きければ自動的に下がる計算で、必ずしも衰退を意味するものではありません。
人口減少にうまく対応した労働人口の効率的な産業間配分や、機械・設備などの有効な資本投資、技術革新などによって工夫をし、生産性(GDP/労働人口)を向上させることができれば、これからの日本経済の成長を維持することは不可能ではないのです。

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斎藤 孝教授経済学部 経済学科

  • 専門:マクロ経済学、理論経済学・近代日本経済史
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