政策は、すべての国民に提供されるサービスで、誰にとっても重要な課題です。これまで政策形成は、政治家トップの役割と考えられてきましたが、社会や時代の変化に伴い、住民のニーズに柔軟に対応した政策が求められるようになってきました。政策形成をめぐる環境が、地域に根ざしたきめ細やかな政策を行うための地方分権へ、また、具体的な成果を重視した政策の創造としての成果志向や、これまでの直感的なものではなく、成果やニーズについて、証拠や客観的な統計データを踏まえた政策へと変化しつつあるなか、公務員は決められた政策を実行するだけでよい存在なのでしょうか。政策形成における公務員の役割には、法令順守を大前提としながら、変化する国民・市民のニーズを的確に把握し、双方向のコミュニケーションを通じて反映することが挙げられます。さらに、「国から地方自治体へ」という考えから「地方自治体から国へ」、「上司から担当者へ」だったものが「担当者から上司へ」と、トップや上司の指示が重要とされた時代は終わり、若い人がどんどん提案できる仕組みによって、積極的な政策立案を行うことが求められています。ニーズに最も敏感なのは、地方自治体であり、担当者です。最前線にいる若い世代こそ、これまで取り組まれてこなかった分野にも積極的にチャレンジしていく必要があるのです。

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井上 武史教授経済学部 総合政策学科

  • 専門:地方財政論、都市政策論
  • 掲載内容は、取材当時のものです