「ホテル」からイメージするのは、サービス・感動・おもてなし・満足・ホスピタリティ・感動体験…などでしょう。しかし、これだけでは収益を獲得することはできません。お金を儲けることができなければ、ビジネスではないのです。ただしホテルは、商品を売れる数だけ仕入れて顧客に販売し、儲けを得るような小売りとは違います。客室数が決まっているため、目的は数を売ることではなく、より多く儲けることだといえます。だからといって、安易に一部屋当たりの値段を上げたのではすぐに売れなくなりますし、簡単に部屋数を増やすこともできません。大切なのはバランスです。売れる部屋を、売れる値段で、売れる方法によって適正に販売する必要があるのです。過去のデータを分析したり、周辺ホテルの価格や近隣でのイベントを調査したりして、売れる値段を見つけ、状況に合わせた判断をし、直接販売やインターネット販売、旅行会社への販売など販売方法を選択し、自社にとって都合のよい、よく売れる方法を考えます。また、事前予約の値段を下げたり、逆に、空室が多ければ当日近くに価格を下げたりと、状況に応じて価格設定を工夫するなど、一人でも多く泊まってもらい儲けを得るため、ビジネスの視点を持ってさまざまな切り口から考えていく必要があります。観光を学ぶ皆さんには、このような視点を持ち続けてもらいたいものです。

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吉岡 勉教授国際観光学部 国際観光学科

  • 専門:管理会計、ファイナンス
  • 掲載内容は、取材当時のものです