旅行がインターネットでも自由に買えるようになり、価格競争も進んでいます。そうした中、商品として売れるプロの旅行企画は、お金を払ってでもほしい、といった魅力のあるものが求められます。旅行者が満足のいく商品を作るためには、ニーズを知り、分析して商品に生かすことが大切です。なぜ旅行に行きたいのか(旅行動機)、旅先でしたいことは何かといったことについて、情報分析力、イメージの想像力、クリエイティブの創造力が必要です。旅行動機の「旅先のおいしいもの」には、普段は食べられない、旅先ならではの、名古屋の手羽先のような定番の名物や、鹿児島の白くまのようなご当地ものなどが挙げられます。また、「日常からの解放」や「思い出をつくる」ためには、普段はできないカヌーなどの体験をしたり、珍しい景色を見たりするといった経験が挙げられます。これらは、誰と一緒に経験するのかということも大切な要素です。また、社会環境から旅行企画を見ることも必要です。政治や経済情勢の変化から、治安や外交情勢、為替レートなどを見て、旅行の安心や安全性の視点を持つことや、航空会社の就航、鉄道の開通、観光施設のオープン、映画、小説の舞台になったことなどの社会的な出来事から、新しい企画の視点を持つことも大切です。プロの旅行プランナーになるためには、「どこへ行くか」や「何をするか」から入りがちな個人の旅行と違い、旅行者の本当のニーズは何かを分析し、ニーズに合った観光資源を発掘し、企画をする必要があるのです。

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森下 晶美教授国際観光学部 国際観光学科

  • 専門:観光マーケティング、旅行商品企画
  • 掲載内容は、取材当時のものです