ネパールの若者について、社会文化システム学科の視点から考察します。ネパールは海のない内陸国で、工業化や貿易が難しく、山国でもあるため、零細農業で、農村部は伝統的な暮らしをしていて近代化が遅れています。ちょうど、高度成長期の前の日本のような雰囲気です。自己調達できないものを輸入に頼るため、輸出の資源として、外国への出稼ぎが急増しています。そのため、外食・携帯・レジャーなどの国内市場の拡大や英語教育の流行など、社会が大きく近代化を遂げてきました。若い人たちは外国での就業を目標とし、スマートフォンを利用して貪欲にコネクションを活用し、知人やインターネットから情報を集めています。彼らには、地域の年配者との交流といった伝統社会で鍛えられたコミュニケーション能力や適応性があり、独立心・自立心も旺盛です。学んだことを活かし、ハングリー精神と英語力を自信に、開発途上国が、グローバル人材の宝庫になる日も近いのではないでしょうか。世界中の人たちが今、それぞれの立場で将来を見据えながらいろいろな形で暮らしています。グローバル化の時代とは、そのような人たちがクロスする場面が増えている時代だと言えるでしょう。ぜひ視野を広げ、いろいろな国の人のことを考えてもらいたいものです。

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小林 正夫教授社会学部 国際社会学科

  • 専門:人文地理学
  • 掲載内容は、取材当時のものです