太陽活動は人類の生存になくてはならないものであり、文化や文明にも影響を及ぼしています。
太陽の内部にある太陽黒点は太陽活動のバロメーターです。太陽黒点の数は約11年ごとに増減を繰り返しますが、極大期を迎えているはずの2016年現在、黒点数が明らかに少ないのです。太陽活動は停滞期に入ろうとしているのでしょうか。
過去400年間の黒点数の変動を見ると、1645~1715年のマウンダー極小期、1790~1820年のダルトン極小期があり、これらの時期には世界的に寒冷化が進んでいました。
寒冷化が社会に及ぼした影響を見てみると、15世紀末~17世紀は西欧で毛織物の需要が増し、毛織物工業の発達が後に産業革命を誘発しました。18世紀~19世紀初頭は食糧増産のための技術革新が進み、これが農業革命につながりました。
太陽活動の極小期は近い将来必ず再来します。しかし直近の極小期では、人類は適切に対応し、危機を社会の発展に転じることができました。ピンチをチャンスに変えてきた先人たちの例に倣い、私たちも正しく畏れ、正しく対応していきましょう。

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萩原 喜昭教授文学部 国際文化コミュニケーション学科

  • 専門:天文学、電波天文学
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