開発途上国を中心に都市化が進み、その人口は経済成長とともに年々増加しています。現在地球に住む70億人のうち半分の35億人が都市に住んでおり、その3分の1にあたる10億人がスラムに住んでいます。スラムは、耐久性のない住宅とその高密化、基本的インフラの不足、自然災害に対する脆弱性などといった問題を抱えており、居住権が安定しないため、こうした問題を住民自ら改善しようとせず、ますます状況が悪化しているのです。
こうしたスラムの居住環境改善策として近年注目されているのが「オン・サイト型」という、その場所に暮らしながら自分たちで居住環境を改善していくという手法です。オン・サイト型アプローチの有効性を高めるキーワードには、コミュニティの能力向上と行政からの権限の委譲が重要だという「エンパワーメント」、スラム同士のネットワーク化や、行政と民間企業との「パートナーシップ」、「マイクロ・クレジット(無担保小規模金融)」、「土地権利正規化」などがあります。
ただ、これらの全てが有効に機能しているわけではないので、それぞれのスラムの状況に応じた策を取る必要があります。そのためにはスラムの現場に入り、スラムの現状を把握することが大切なのです。
志摩 憲寿准教授国際学部 国際地域学科
- 専門:建築学/都市計画・建築計画
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