日本古来の生活スタイルが投影されている旅館の数が、この20〜30年で減少しています。その理由は、ライフスタイルの変化(座布団から椅子へ、ちゃぶ台からテーブルへ、布団からベッドへ、障子や襖は壁・扉・窓でプライバシー保護など)、「みんなで一緒」から「自分の部屋」へという「個」の重視、使用法の変化(食、くつろぐ、寝る、がそれぞれ別のスペース)、そして国内旅行者数の変化と旅行形態の変化(団体旅行から個人旅行へ)が挙げられます。では、今後生き残るのはどのような施設なのでしょうか。それは、無駄を省き低価格化を図る旅館、多様化する顧客のニーズを的確に把握しサービスをスリム化した旅館、そしてその土地ならではの魅力を発信する旅館といえます。
「観光」とはその土地の魅力を来訪者に見ていただくことです。旅館の「その土地ならではの魅力を精一杯お客様に味わってもらおう」というサービス提供は、まさに観光そのものです。地域の魅力を再確認することで、旅館が再び盛り上がっていくことが期待できます。

pf_kiryuu.jpg

徳江 順一郎准教授国際観光学部 国際観光学科

  • 専門:ホスピタリティ・マネジメント、ホテル経営学、料飲事業経営、サービス・マーケティング

  • 掲載内容は、取材当時のものです