人々が満足できる社会にするためには、「合意形成」が不可欠です。
上水システムを例に、合意形成を考えてみましょう。日本の水道水質は世界でもトップクラスですが、誰もが水道水を飲んでいるわけではありません。ベイジアンネットワークという方法で水道水を飲まない原因を調べたところ、水道水質への不安が高いこと、その不安は環境問題への意識の高さから生じていることが判明しました。
では、水道水のもっとも望ましい姿はなんでしょうか。安い方がいいのか、あるいは安全が一番なのか。安全を求める人は水道水に対して根本的な不安があるので、極限まで有害物質を取り除いた水道水でも飲むとは限らないでしょう。そこで、水道水質の正確な情報を提供し、環境問題に対する正確な理解を促すのです。そうすればお金をかけずに水道に対する不安を取り除くことができ、かつ、安いほうがいいと言っている人とも、根本的な対立が解消する可能性があります。
このように、行動には必ず原因があり、原因の裏には真の原因が潜んでいます。それを取り除くことが問題解決へとつながります。ビジネスの社会ではこれをソリューションと呼びます。

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大塚 佳臣教授総合情報学部 総合情報学科 心理・スポーツ情報専攻

  • 専門:都市環境工学、都市環境システム、環境行動心理

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