辞書から眺める文明開化の日本語

2015年6月5日

新しい概念やものごとといった“未知なるもの”を理解するためには、それらを指し示す言葉が必要になります。しかし、対応する言葉がうまく用意されているとは限りません。現代の日本では外国語をカタカナで書き記すのが一般的ですが、幕末から明治初期にかけてはカタカナに直してはいませんでした。「電気」や「銀行」は中国語からの直接借用、「文明」や「革命」は中国古典語の意味的転用、そして「哲学」や「郵便」は日本独自の漢語を生み出すといった具合に、新しい言葉に対応していました。
言葉の意味も時代によって変化しています。たとえば「発明」という言葉ですが、幕末から明治初期は現代の「発見」と「発明」という両方の意味を担っていました。それが明治20年代以降は使い分けられるようになります。さらに明治38年に発表された夏目漱石の『吾輩は猫である』では、再び「発明」を現在の「発見」の意味に用いた例が見られ、何らかの意図があって使われたと推測できます。このように、私たちが普段使っている日本語には、さまざまな背景や変遷があるのです。

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氏名 (姓名は半角スペース区切り)
木村 一
職名
教授
学部
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学科・専攻
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サムネイル写真
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専門:日本語学

※掲載内容は、取材当時のものです

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