現代社会は、SDGsにおいて「ダイバーシティ&インクルージョン」が目標とされている通り、多様な人々が共に生きていける社会の実現に向かっています。その中でさまざまな生活スタイルの人たちが、充足感を感じ、意欲をもって働き続けることができる環境の実現を目指しています。
本研究では、働く人一人ひとりが充足してキャリアを築いていくことについて、東洋大学においてどのような状況にあるのかを調査し、検証していきます。これは、ジェンダー平等や働きがいのある社会というSDGsの達成に貢献する研究であり、大学という教育の場で男女ともに生き生きと働いている姿が実現されていれば、これから社会に羽ばたく学生たちにとっても有用な役割モデルになり得ると考えます。
研究内容は、第一に東洋大学の教員と職員のキャリア形成に関する計量分析を行い、キャリアラインがどうなっているのか計量的に把握します。第二に、育児休業と介護休業に着目し、育児や介護の当事者だけでなく、同じ職場で働く人々にどのような影響があるのか、多様な背景をもつ人々が一緒に働くうえでの困難やニーズについてインタビュー調査します。第三に、ジェンダーバイアスに着目し、インタビュー調査を通して課題を明らかにしていきます。
教職員のキャリア形成、育児・介護休業をめぐる問題、ジェンダーバイアスのそれぞれについて、客観的なデータを集めて分析することで、依存的な他者、世話を必要とする他者をケアしながら働く人たちの職場環境を次のステージに進化させていきたいと考えています。東洋大学をフィールドに実施する本研究を通じて得られた成果は、ほかの組織やさまざまな場所で働く人々にとっても有益なものになると期待しています。
西野 理子教授社会学部 社会学科
- 専門:家族社会学、ライフコース論
- ※掲載内容は、取材当時のものです