不平等や差別といった様々な格差問題から「生きづらさ」を抱える人たちが、社会の中で適切なサポートを得ることが難しい状況が生まれています。誰もがマイノリティになる可能性を持つ現代社会。だからこそ、そうした問題は他人事ではなく、生育多様性の共生社会を築くために解決すべき課題について、一人ひとりが考え、向き合っていくことが求められています。そこで、東洋大学重点研究推進プログラムにおける本プロジェクトでは「生育のdiversityを生むメカニズムの解明とwell-beingな社会の実現に向けた支援体制の構築」をテーマとし、生命科学分野で得られた知見を人文・社会学の現場である、保育や教育、療育の現場に活かしていくという協力体制のもとで、文理融合の学際領域を超えた研究を進めています。

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生命科学分野では、性分化および性差を決定するメカニズムの研究およびモデル動物等を用いた神経精神疾患(神経発達障害、心的外傷後ストレス障害、自律神経障害、うつ病、認知症を含む)の脳内メカニズムの研究を推進し、保育、教育、療育の各現場で活用できる知見を集約します。また、人文・社会学分野では、幼児から高齢者までさまざまな年齢層を対象とした食事と健康に関する実態調査をはじめ、発達障害の子どもたちの感覚の過敏性や鈍感さが夢にどのように現れるのかを調査し、効果的な悪夢の治療について研究しています。

現在は講演会やセミナーなどで啓蒙活動を行っていますが、今後は情報発信のためのプラットフォームを整備していく予定です。本研究によって得られた成果を周知し、多様な幸せを実現できる社会の実現に貢献していきたいと考えています。

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児島 伸彦教授生命科学部 生命科学科 分子神経生物学研究室

  • 専門:脳内シナプスの可塑性を司る分子の研究
  • 掲載内容は、取材当時のものです