ICT (情報通信技術)によるデータ収集・解析に関わる学びを特色とする総合情報学科は、2018年度よりコースが再編成され、新たに「心理・スポーツ情報コース」が設置されます。

心理学、スポーツ科学という学びの二本柱

心理・スポーツ情報コースでは、臨床心理学や実験心理学、応用心理学(行動心理学、色彩心理学、犯罪心理学など)といった、幅広い心理学領域の知識を身につけることができます。学校や職場におけるメンタルヘルスの問題が複雑化・多様化する咋今においては、心理臨床の知識と技術を駆使して支援を行う専門家の重要性が高まっています。本コースでの学びを通じて、専門的なスキルを身に付けることで、心理関連の資格を習得したり、心理専門職に就職したりといったキャリアを描くこともできるでしょう。さらに、心理学的なアプローチの中でも、心理・行動に関わるデータの測定と解析、解釈といった側面に注目し、ICTの活用方法を模索していくことが、心理・スポーツ情報コースの特徴といえます。心理的支援の現場で働きたい、という人はもちろん、心理学と情報科学を組み合わせ、新たな応用可能性を追求したい人にとっても、充実した学びの環境が整備されています。また、スポーツ科学に関する学びとして、心・技・体の側面からアスリートを支援する方法について考え、研究・実践につなげていきます。体カ・筋力といった身体能力や、競技に特異的な身体技能を向上させるためには、科学的な知見に基づくトレーニングの技術と、その指導方法を身につける必要があります。心理・スポーツ情報コースでは、解剖学や運動生理学の視点から身体の構造と機能をとらえ、トレーニングの設計に活用します。また、専門家による指導を受け、筋力やパワー、柔軟性といった、スポーツに不可欠な要素を高めるためのトレーニング実践、指導のスキルを身につけることが可能です。さらに、アスリートが本番で実力を発揮するためには、心理的なサポートも必要となるでしょう。競技に対する意欲を高め、集中·リラックスした状態で試合に臨むために、心理学の知見に基づく様々なトレーニングが考案されています。このようなメンタルトレーニングの基礎理論と、実践の方法も含め、様々な視点からアスリート支援に取り組むことができます。NSCA認定のパーソナルトレーナーやストレングス&コンディショニングスペシャリストの資格取得が可能です。

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心理・スポーツ領域へのICT活用

従来、心理学領域では、統計学やデータマイニングにおける解析技術を駆使して、多くの研究成果が生み出されてきました。その他にも、クライアントに対する心理検査の実施と結果の解釈、フィードバックをWeb上で行うなど、心理的支援のプロセス全体に、ICTを導入していくことが考えられます。これにより、遠隔地のクライアントに対してカウンセリングを行ったり、心理・行動に関わる膨大なデータを効率的に管理し、効果的に処理・フィードバックしたりすることが可能となるでしょう。スポーツ領域においても、アスリートの生体データやパフォーマンスに関わるデータを収集し、戦略・戦術の立案へと活用していく、スポーツデータアナリティクスが注目を集めるようになりました。今後は、パフォーマンスの向上に加えて、競技生活における怪我の防止や健康維持、メンタルヘルスケアなどを考慮し、幅広く心理・行動・生体に関わるデータの収集、分析を行っていく必要があります。

このような心理・スポーツへのICTの活用は、近年、急速に発展を遂げており、心理・スポーツ情報コースで得た学びを活用する場も、拡大しつつあるといえます。

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卒業後の進路について

心理学・スポーツ科学のいずれを学ぶ上でも、それぞれの領域に特化した資格を取得し、専門職への就職へとつなげることが可能です。心理学に関しては、諸領域の幅広い学習内容をカバーした授業が開講されるため、それらの授業を履修することで、資格試験への対策となります。もちろん、心理学に関する知識や、統計解析、データマイニングの技術は、様々な領域への応用が可能であり、心理職にかかわらず様々な進路を検討できるでしょう。スポーツ科学に関する学習内容の一部は、国際的なトレーニング指導のライセンスである「NSCA認定資格」の資格試験に準拠しています。在学中、または卒業後にトレーナー資格を取得し、アスリート支援の現場で活躍することも夢ではありません。また、スポーツ産業への就職を考える人にとっても、スポーツ科学と心理学、ICTの融合領域で学んできたことは、大きな強みとなるはずです。心理・スポーツ情報コースにおいては、まず、心理学、スポーツ科学など、自分が興味関心をもった領域を学び、専門性を獲得してもらいたいと思います。その上で、他領域の知見や技術を組み合わせながら、新たな価値の創造につながる研究・実践に取り組んでいくことが期待されます。

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加藤 千恵子教授総合情報学部 総合情報学科 心理・スポーツ情報専攻

  • 専門:メンタルヘルス、スポーツ心理学、ヨーガセラピー、心理統計、アートセラピー
  • 掲載内容は、取材当時のものです