8.働きがいも経済成長も9.産業と技術革新の基盤をつくろう

後継者の精神的健康とレジリエンス:地域連携を活用した文理融合アプローチによるレジリエンス促進プログラム開発と事業承継支援

  • 重点研究課題:

    (3)(4)(5)

  • 研究代表者:

    山本 聡 教授(経営学部経営学科)

  • 研究期間:

    2024年4月~2027年3月

for “Engagement and Resilience of Japanese Small Business”

−中小企業経営者のやりがいとは何か?」に挑む−
写真:会議風景

地域経済の基盤である中小企業において、経営者の高齢化が進み、後継者の育成が課題とされている。事業承継者の働きがいや幸福感、またレジリエンスはどのように生まれるのか。本研究では経営学や経済学の視点に加え、教育学や心理学、脳科学、精神医学の手法も取り入れながら、「レジリエンス促進プログラム」を開発し、社会課題の解決へと導いていく。

取材:2024年7月

事業後継者の働きがいや幸福感、レジリエンスを解明しより良い事業承継のあり方を探る

経営者の高齢化が進展するなか、後継者の育成は解決すべき社会課題です。中小企業は地域経済の基盤であり、後継者教育による事業承継支援は、地域社会発展と新産業創出につながります。その目的を実現するために、本プロジェクトでは、中小企業の後継者・支援者を対象にする「レジリエンス促進プログラム」の開発・実装を目指しています。事業後継者の働きがいや幸福感、ストレスやストレスを乗り越える力であるレジリエンスがどのように生まれるのかを解明し、問題解決に役立てたいと考えます。

そこで、従来の中小企業経営論や経営学、経済学の視点だけではなく、教育学、心理学、脳科学、精神医学の手法やアイデアを取り入れながら、より良い事業後継のあり方を探り、問題解決に向けた研究を進めています。

写真:会議風景

例えば成人教育学・教育学の視点からは、起業家、特に女性起業家のリーダーシップ養成に関するプログラム開発を進めています。この研究が社会に果たす意義は、「持続可能な社会づくりのために、人々が真に働き続けることができる装置の構築」だと考えます。

また、現在、月に一度、中小企業経営者や事業承継者を招聘(しょうへい)し、自社概要と事業承継までの道程と契機、その後の経営成果などを共有する研究会を開催しています。今後はリーダーたちの生の声や経験をもとにした情報から事業承継に関するさまざまな悩みややりがいをデータとして蓄積し、実際の中小企業政策にフィードバックさせていくことを計画しています。さらには、中小企業経営者や行政機関向けのシンポジウムを開催するなど、情報発信にも力を注いでいきます。

写真:山本 聡 教授

山本 聡

経営学部経営学科教授、本研究プロジェクト代表。
機械振興協会経済研究所、東京経済大学経営学部を経て、2019年4月より東洋大学経営学部教授。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内・海外の中小企業の経営体制の変化を解明することを研究テーマとしている。学術論文や書籍だけでなく、企業経営者や技術者向けに産業・企業動向に関する多数のレポートを寄稿する一方、国内外でさまざまなセミナー講師も務めている。東洋大学産官学連携推進センター副センター長、経営学研究科ビジネス会計ファイナンス専攻長および中小企業診断士登録養成コース長。