極限環境微生物で循環型社会を実現し、生活環境を豊かに!~TOYOSDGs Global 2024-2030-2037~
重点研究課題:
(3)(5)(8)
研究主体:
バイオレジリエンス研究プロジェクト
研究代表者:
伊藤 政博 教授(生命科学部生物資源学科)
研究期間:
2024年4月~2027年3月
近年、マイクロプラスチックがさまざまな環境中から検出され、その影響は人や海洋生物、鳥類に及ぶ。東洋大学のバイオレジリエンス研究プロジェクトでは、過酷な極限環境でも生育可能で新たな生物資源として注目される極限環境微生物を研究対象とし、SDGs 達成に向けた取り組みを進めるとともに、さまざまな産業や医療の分野に応用するための研究に取り組んでいる。
取材:2024年7月
バイオレジリエンス研究プロジェクトでは、過酷な極限環境でも生育可能で新たな生物資源として注目される極限環境微生物を研究対象とし、SDGs 達成に向けた取り組みを進めています。主な研究テーマとしては、プラスチック廃棄物問題の解決、二酸化炭素排出削減、海洋汚染防止などがあります。
例えば、近年、マイクロプラスチックがさまざまな環境中から検出され人や海洋生物、鳥類に影響を及ぼしています。この問題を解決するために、微生物を使ってマイクロプラスチックを分解することで、持続可能な社会の実現を目指しています。そのほかにも、極限環境微生物が持つ有用な遺伝子機能に着目し、さまざまな産業や医療の分野に応用するための研究も進めています。
本研究では、バイオものづくり班、環境リノベ班、遺伝子活用班、理科教育展開&評価班の4つのグループに分かれ、より早く社会実装を実現する研究に力を注いでいます。たとえばこれまでに、川越キャンパスの花から分離した花酵母を使って、卒業生が経営する酒蔵と共同で日本酒の製造・販売をしたほか、他の重点研究プログラムとの連携の一環として、大手化粧品メーカーが持つSDGsに貢献する特許を利用し、国際社会共生センターの研究グループと共同でハンドクリームの製造・商品化してきました。また、市民や地域の小・中・高校生にも研究内容をわかりやすく伝えるためのアウトリーチ活動も実施しています。
本プロジェクトを通じて、極限環境微生物を利用して持続可能な社会へ貢献していくことに加え、地域経済の活性化や若手技術者の育成を視野に入れ、多くの人々に科学技術の理解と関心を深めていきたいと考えています。
東洋大学生命科学部生物資源学科教授、本研究プロジェクト代表者。
東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修了。博士(工学)。ニューヨーク・マウントサイナイ医科大学で3年間勤務し、1997年より東洋大学生命科学部に着任。この間、2008年から2年間、文部科学省研究振興局で学術調査官を兼任、2011年に日本学術振興会賞を東洋大学教員として初受賞。2023年より内閣府食品安全委員会専門委員。極限環境微生物研究の先端科学をSDGs達成のために貢献できる研究開発を目指している。専門は極限環境微生物学、農芸化学、応用微生物学。